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ほぼ廃人と化した女が吐く、ネガティブ詩や散文
言葉の宝石
と呼んでいた。密かに、私はあなたの言葉を。

活字では表現出来ないけれど、
誰でも言うような易しい表現でしかないのに
あなたが使うと、それは、まるで
真珠やら珊瑚やら、ダイヤモンドやら、
の原石が

その口から零れ落ちるように響いた。

精神保健福祉士 なんて、そんな資格、
私も知らなかった。

あなたと出会うまではね。

ただ、全てに絶望して
まさにどん底のときに出会ったあなたは
たまたま福祉現場の
精神保健福祉士(略称PSW)だった。

メールも電話も大嫌いなあなたが

初期にくれた僅か2通かそこらの
私のメールに対する返信を
私は今でもお守りみたいに
大事に取ってある。

【光と影があるなら光になりたい。
そう思うのは当たり前だと思う。
でも、影もあるから
人間としての魅力がにじみ出て来るんでしょ?
影ばっかりで光がないから苦しいんだと
言い返されるのは予測がつくけど。

他者に合わせながら聞き、
受け止めるナレイさんを見ていると
自分を差別せず、
解き放っていると感じるときがあります。
たとえ演技でも、
どっぷりと病気に包まれているのではなく、
大人としての知識と常識を持った
一人の人間を私は見ています。
それが、苦しみの根源ですか?
それが、病気の宿命ですか?
不穏な表現をして、
ハラハラと周りを心配させることが本意ですか?

そんなことしなくても、
ナレイさんの不安や苦しみに
ちょっとでも近づこうとしている人間が
いることも事実なんだと。
ナレイさんにとっては
歯がゆい見守りかも知れないけれど。

病者や厄介者として、
危険物を扱うような「上からの心配」を
望んでいますか?
フェイドアウトしていくのも自由だけれど、
苦しみに闘い、悶えながら、
明日を切り開いていこうとする姿は
暖かい眼差しの心配 を
導くのではないですか?

P.S けして他人のせいにできないから、
苦しみが増えるんですよね。
また、
活字上の誤解が生まれないことを祈ります。】

こんなPSWも、中にはいるのだと言うこと。

もう6年前になるのだろうか。
「私、今から大学入ってPSWになるから。
決めた!」
と言ったときの、
普段、仏頂面なあなたの
思い切りほころんだ笑顔が、忘れられない。

あの笑顔に、必ず応える。
そう決めた。あの日から。

誰も知らない資格。
それでも、私にとっては
弁護士よりも、医師よりも、
大切な、特別な資格。


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【2018/03/22 00:03】 | PSW(精神保健福祉士)
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当時の私が通っていた支援センターでは、
幅広くどなたでも受け入れる 
と言うのが、 所長であるボスの方針だった。

よって、センターには精神障害だけでなく、
アルコール依存の人は勿論、
ネグレクトの子供たちや、ときにはホームレスの人まで、
本当に幅広く様々な人が来所していた。

その中にいた、ネグレクトの子たち、
正確には、ネグレクトに近い状態 の子たち。
兄妹で、上から、
サラ・5歳、カズト・2歳、ミク・1歳(全て仮名)、と3人・・・・。
まだ乳児の二人を、サラが引き連れてやって来るのだった。

サラのとかされていない、
飯粒のこびりついた長い髪、汚れた服、
裸足の足の裏から、
明らかに風呂に入れてもらっていないことがわかった。

私は元々子供は好きではない。が、
サラのそんな姿が切なくて
何気なく
今日ご飯食べたの?と尋ねると、
食べたよ、からあげ・・・
その答えから、惣菜を買って置いておくのだろうと想像する。

サラは決して母親を悪く言わない。当然のことながら。
私たちもまた、責めたりは出来なかった。
ある程度の事情を把握してはいたが、
5歳のサラにとって、
母親は唯一絶対の存在に違いないのだから。

サラは、ボスが大好きで、
初めて「ここの所長さんよ」と紹介されたとき、
しょちょう の意味がわからず、
以来ボスを ダチョウ と呼んで懐いていた。

ボスにまとわりついて甘える。
ダチョウ、あそぼう~と。

しかしサラは、5歳にして既に世渡りの術を身に付けていた。
いや、その環境から
身に付けざるを得なかったと言った方が正確だろう。

私や他の女性スタッフ、利用者を
オバさんとは決して呼ばず、名前で呼ぶ。
母親からそう言われていたのかも知れないが、
それ以上に、あの聞き分けの良さや、
大人の顔色を見て行動する彼女は、
既に世渡りの術を身に付けており、

私には、それが、悲しかった。

サラはそれを敏感に感じるのか、
ダチョウが忙しいと私の元へ来る。

ナレイさん、おうちごっこしよう~
ええ?またあー?もうやったじゃーん、さっきーやだよもう~
もういっかいだけ、やろう~
わかった!  はい!サラ!朝よ起きて!
早く起きないと学校間に合わないわよ!

んー・・・ねむいよお・・おかあさん・・
早く早く!朝ごはん!食べちゃいなさい!

フツーのおうちの朝から晩までを何度も何度も繰り返す、
おうちごっこ。
広告をちぎった目玉焼きと新聞紙のふとん。

サラは
そんな当たり前の母親とのやりとりを求めていたのだろうか。

他の利用者に、
「子供がうるさくて話ができない」と言われたときは、
ボスはサラたちを引き連れて外へ出る。
いくら聞き分けがいいと言っても、5歳では確かにうるさい。

ある日、ボスがサラとカズトを連れて、
近所のペットショップへイヌを見に連れて行くと言う。
ナレイさんもいこう~
カズトがダチョウとてをつなぐから、
あたしがナレイさんとてをつなぐのね!


サラは、そこに束の間の 家族 を求めたのだろう。
ダチョウがお父さん、ナレイさんがお母さん、
その子供たち、自分とカズト・・・。

しかしその束の間の擬似家族は、私の思いとも重なった。
ペットショップの店長に、「お子さんですか?」と問われたとき、
本当に家族だったらな・・・と思った私。

サラ、あなたの本当の事情はわからないけれど、
孤独な私は、
あのとき、あなたと同じものを求めていたのかも知れないね・・・。

互いに足りない何かを埋め合わせるように、
手を繋いでいた私とサラ。

ボスの、幅広く誰でも受け入れる方針の意味が、
そこに垣間見えた時間。

そしてサラ、今頃成長しているであろう貴女、
良い子なんかじゃなくていい。
どうか捻じ曲がらずに、本当のお母さんの元から、
お母さんの本物のご飯を食べて、学校へ通っていて欲しいと
切に願う。


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【2018/03/09 00:04】 | PSW(精神保健福祉士)
トラックバック(0) |
当時の支援センター通いの頃、五郎さんと言う
60近いおじさんがいた。
彼は、しょっちゅうセンターに顔を出していたけど、
なんだか呂律も回っておらず、
やたら日焼けして、日雇い労働者みたいな印象だった。

病名はわからなかったけれど、
酔っ払ってやって来てはスタッフにからんだり、、
産まれて間もない子犬を4匹、炎天下の中、
自転車の前かごに積み上げて来て、
虫の息になっている一匹の子犬に、
「こいつは内気でやる気がねえ!たるんでるんだぁ~」
などと言っており、私は呆れた。

ボスは、
「五郎さんはぜーんぶ精神論になっちゃうのねー」
なんて笑っていたけれど。

私は、当初
(なんてきったねえオヤジなんだ。
下品で無神経で、どうしようもねえよ)
と、彼のことが嫌で嫌でたまらなかった。

でも、そんな五郎さんと
毎回のようにセンターで会っていたある日、

「あのさあ、赤ん坊ってなあ、たまごで生まれんのかあ?」
と私ともう一人の利用者に素朴に訊いて来た。

私は絶句した。60近くて、
確か息子も遠方に居るはずの彼がなんでそんなこと訊くの?
子供の作り方さえ忘れてしまったの?と。

隣りにいた利用者が淡々と
受精の仕組みを話して聞かせているそのそばで、
私はその質問に応えるより何より、
なんて言うか、、、、切なくて、悲しくて、
彼のことが愛おしくてたまらなくなった。

更に彼は、菅原文太が大好きで、
そのビデオをみんなで観たいのだと言う。
そう言うときは「みんなのノート」と称する、
利用者専用のノートに書いて知らせればいいと
スタッフが話したら、

「おらぁ、もじがかけねえからよぉ~」そう言って

「菅原文太のビデオをみんなでみませんか」

たった、たったそれだけの文章を、
スタッフに教わりながら、
一生懸命何度も何度もメモに下書きして練習してた。

その光景を見ていた私は、胸がいっぱいになった。
そんな彼が無性に健気でひたむきに見えて、やっぱり切なくて、
悲しくて、愛おしくてたまらなくなって、
こみ上げて来るものを抑えきれずに、2階に上がって号泣した。

私の元に来た、ボスや他のスタッフも
「たまごで産むのかって訊くんだもの!訊くんだもの!」
そう言って泣きじゃくる私に戸惑っていた。

なぜあんなに泣いたのか、
自分でも未だによくわからない。

五郎さんは殆ど知識を持っていなかった。
だから私は、人間本来の姿をそこに見たのかも知れない。

重たい歴史を背負っていながら、病気のためか、
何のせいかはわからないけれど、ただ丸裸に生きるしかない、
ひたむきな人間の姿を。


知識を身につけるのは大事なことかも知れない。
でも、その知識に汚されると、
見えるものも見えなくなる時がある。

五郎さんも、昔は知識を持っていただろう。
でも、それがだんだんとなくなって
汚れ知らぬ姿 になった五郎さんを私は見たのかも知れない。

それ以来、私は五郎さんと仲良しになって、
彼が素朴に尋ねて来ることに、いろいろ応えると、
彼も病院のことや、犬の餌のこと、社会保障制度のこと、
訊く度にホッとした様子で
ふら~っと現れてはふら~っと帰って行くのだった。

「いしゃなんてよぉ~あれだろ?
かねもうけのことしかあたまにねんだろ?」

なんて、いっつも同じ悪態をつきながら。

ある日その後姿を、ボスと二人で見送っていたら、

「五郎さんはさあ、自分が良かった頃のまま、
その頃のままで、記憶が止まってるんだよね・・・」

そのボスのひと言が、未だに鮮明に残っている。

未来を担う子供たちより、
重たい歴史を背負う大人たちと多く関わるのが、
PSWの仕事かも知れない。


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【2018/02/25 00:04】 | PSW(精神保健福祉士)
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支援センター通いをしている頃、ミカさん(仮名)と言う、
滅裂思考らしき症状を持った30代女性がいた。
(統合失調症・発病が相当早いと推察)

彼女は明らかに母親の愛情に飢えており、
その反動として私や周囲の女性職員に母親像を投影しては、
常に怒りをあらわにしていた。

友達なんか必要ない、一人がいい、と思っているらしいことが、
意識です。意識の外の意識です!
などと言う意味不明な言葉や行動からうかがえた。
悲しい彼女は幼い少女のように、
うわべだけ優しい男性職員に甘え、彼を慕っていた。

ある日の夜、たまたま私が密かにボスと呼ぶ、ベテランPSWと
私とミカさんの3人だけになったところで ボスはミカさんと話し始めた。

鋼のように、他者の言葉をはねつけ、決して心を開こうとはせず、
ただ滅裂思考ながら、
一人きりで生きることがいちばん大事だ、自分の考えこそ絶対だ、
と言って聞かない。
ボスや私が何を言っても
ちがいます!そうじゃないです!
と、思い切り怒鳴る、叫ぶ、
手のつけようもないほどマイナスの感情を迸らせていた。

それでもボスはあきらめない。

易しい例え話を引用して、
いかに仲間と一緒に生きることが大切か、
いかにいろんな個性を持った人間がいるか、
と言うことを何度も何度も話して聞かせていた。
私もその場に入って、話は2時間近くに及んだ。

例えば車ってさ、いろんな部品から出来てるでしょ?
その中のたったひとつでも壊れたら、もう動かなくなっちゃうよね?


動かなくなったら車庫に入れとけばいいじゃないですか?!
てな調子で、 彼女には比喩表現さえ通じない。

それでもボスはあきらめない。

んー・・・じゃあどう言ったらいいかな・・・
例えば木にはいろんな実がなるでしょ?
でもよく見ればひとつとしておんなじ実ってなくてさ、
大きかったり小さかったり、丸かったり長かったりするよね?


何度でも、何度でも優しく語りかけるボス。

私も、どう表現したら彼女に伝わるだろうと、
そのたくさんの実の中のひとつひとつが、ミカさん、
あなたや私やボスなんだよ。

と、ボスの話を受ける形で語りかける。

ちがいますよ!ちがいますよ!そうではないっ!!
そうわめき散らす彼女は本当に鋼のようだった。

そんな会話を何度も何度も続けているうち、
怒鳴ってばかりいた彼女が次第に黙ってうつむき、
大粒の涙をぽろぽろとこぼし始めた。

ひとりぼっちでさびしい・・・
彼女は怒りつつ、内心ではしきりにそう訴えているように私には聞こえた。

(貴女は一人じゃないよ)
そう、懸命に応えようとしているボスの思いが彼女に伝わった、
私はそう確信した。

その後、次第に彼女は今までに見たこともないような柔らかな表情になり、
笑顔を見せ始め、落ち着いて、ボスや私の話に聞く耳を持つようになった。

それはまさに 雪解けの感 であった。

私は内心
良かったね、ボス。あなたの本気の思いがちゃんとミカさんに届いたよ。
そう呟いていた。

エネルギーを使い果たしてくたびれ果てて、
家に辿りつくと私はその場に倒れ込んだ。

でも、確実にそれ以来ミカさんは変わった。

キツかったけれど、ボスの熱い思いと、
ミカさんの悲しみをそこに見たひとときだった。

世間じゃ知られていないPSWと言う仕事。
そして、PSWにも様々だけれど、
ボスのような、PSWもいるのだと言うこと。

統合失調症の症状は薬で抑える。それが一般的な治療とされている。
勿論薬も大切だろう。
だけど、あれだけめちゃくちゃだった彼女に
とことん語り続けたボスの思いが、彼女の心に響いた。

誰も知らない、おそらくずっと、知られることもないであろう
あの日の夜の、あの雪解け。




fuyu_033.jpg

再掲載のクセがついた。
でも良いよねーもう何年も毎日毎日記事更新して来たんだもん。
誰もそんなに読んじゃいないっしょ~






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【2018/02/23 00:03】 | PSW(精神保健福祉士)
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苦しい…
なごやん
お母様の最期の時を綴った
『臨終の日のままで』以来
読むのが苦しかった。

かっちゃんのこと、ミカさんのこと
胸が締め付けられる。

ナレイさん、強いね。
そして、優しい人だね。

絹ちゃん、げんきが続いて何よりです。
ベロ出し姿が、超かわいいんですけど~!


Re: 苦しい…
ナレイ
なごやんさん

コメントおおきに。

いやあ、強くなんかないよ、私は。
本当に、ただ強いだけの人なんかいないと思うし。
弱いよ、私は。
ただ、芯が強いんだよね、幼い頃から。

母のときは自分しかいなくて
自分で全部仕切るしかなかっただけ。
葬式なんて出すつもりなかったのに、
人が余りにも沢山来てくれたので、出さざるを得なくなって。


あら!そう言えば、なごやんさんのために
「猫用こたつ~」という記事を書いたのよ~
見てみてーー



見た見た!
なごやん
UPされた当日、ちゃんと見ましたよ。
重要部分を覚書にしようとしたら
コピーできなくて、ちまちまとノートに
書き写すという…IT原始人方法でw

お母様のことを『心の葬式』を行い
自分の中で葬ってあげる、という一文に
とても考えさせられました。
私は愛猫の死を、受け入れ、本当に
自分の心の中で弔っているのか?
父に詫びたい気持ちがぬぐえないのは
なぜなのか?とかね。

貴女の詩にはいつも自分の中での
気づき、を思い起こさせてくれる。



Re: 見た見た!
ナレイ
わーい、見てくれたのね~

工作はちょー苦手だけど
段ボールおこた、あったかいし
何より絹がすっかり気に入ってくれたから~


みんなよく言うじゃない?
「いつまでも悲しんでいないで」とか。
でも、「悲しむ」というのは
愛する対象がもういないことを受け容れるためには
大事な心の働きなの。

存分に悲しんで、初めて
人は、愛する対象をあきらめられる。
「喪の仕事」と言うんだけどね。


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当時の私が通っていた支援センターでは、
幅広くどなたでも受け入れる 
と言うのが、 所長であるボスの方針だった。

よって、センターには精神障害だけでなく、
アルコール依存の人は勿論、
ネグレクトの子供たちや、ときにはホームレスの人まで、
本当に幅広く様々な人が来所していた。

その中にいた、ネグレクトの子たち、
正確には、ネグレクトに近い状態 の子たち。
兄妹で、上から、
サラ・5歳、カズト・2歳、ミク・1歳(全て仮名)、と3人・・・・。
まだ乳児の二人を、サラが引き連れてやって来るのだった。

サラのとかされていない、
飯粒のこびりついた長い髪、汚れた服、
裸足の足の裏から、
明らかに風呂に入れてもらっていないことがわかった。

私は元々子供は好きではない。が、
サラのそんな姿が切なくて
何気なく
今日ご飯食べたの?と尋ねると、
食べたよ、からあげ・・・
その答えから、惣菜を買って置いておくのだろうと想像する。

サラは決して母親を悪く言わない。当然のことながら。
私たちもまた、責めたりは出来なかった。
ある程度の事情を把握してはいたが、
5歳のサラにとって、
母親は唯一絶対の存在に違いないのだから。

サラは、ボスが大好きで、
初めて「ここの所長さんよ」と紹介されたとき、
しょちょう の意味がわからず、
以来ボスを ダチョウ と呼んで懐いていた。

ボスにまとわりついて甘える。
ダチョウ、あそぼう~と。

しかしサラは、5歳にして既に世渡りの術を身に付けていた。
いや、その環境から
身に付けざるを得なかったと言った方が正確だろう。

私や他の女性スタッフ、利用者を
オバさんとは決して呼ばず、名前で呼ぶ。
母親からそう言われていたのかも知れないが、
それ以上に、あの聞き分けの良さや、
大人の顔色を見て行動する彼女は、
既に世渡りの術を身に付けており、

私には、それが、悲しかった。

サラはそれを敏感に感じるのか、
ダチョウが忙しいと私の元へ来る。

ナレイさん、おうちごっこしよう~
ええ?またあー?もうやったじゃーん、さっきーやだよもう~
もういっかいだけ、やろう~
わかった!  はい!サラ!朝よ起きて!
早く起きないと学校間に合わないわよ!

んー・・・ねむいよお・・おかあさん・・
早く早く!朝ごはん!食べちゃいなさい!

フツーのおうちの朝から晩までを何度も何度も繰り返す、
おうちごっこ。
広告をちぎった目玉焼きと新聞紙のふとん。

サラは
そんな当たり前の母親とのやりとりを求めていたのだろうか。

他の利用者に、
「子供がうるさくて話ができない」と言われたときは、
ボスはサラたちを引き連れて外へ出る。
いくら聞き分けがいいと言っても、5歳では確かにうるさい。

ある日、ボスがサラとカズトを連れて、
近所のペットショップへイヌを見に連れて行くと言う。
ナレイさんもいこう~
カズトがダチョウとてをつなぐから、
あたしがナレイさんとてをつなぐのね!


サラは、そこに束の間の 家族 を求めたのだろう。
ダチョウがお父さん、ナレイさんがお母さん、
その子供たち、自分とカズト・・・。

しかしその束の間の擬似家族は、私の思いとも重なった。
ペットショップの店長に、「お子さんですか?」と問われたとき、
本当に家族だったらな・・・と思った私。

サラ、あなたの本当の事情はわからないけれど、
孤独な私は、
あのとき、あなたと同じものを求めていたのかも知れないね・・・。

互いに足りない何かを埋め合わせるように、
手を繋いでいた私とサラ。

ボスの、幅広く誰でも受け入れる方針の意味が、
そこに垣間見えた時間。

そしてサラ、今頃成長しているであろう貴女、
良い子なんかじゃなくていい。
どうか捻じ曲がらずに、本当のお母さんの元から、
お母さんの本物のご飯を食べて、学校へ通っていて欲しいと
切に願う。


フリー画像・緑の中の古いブランコ

再掲載グセがついた~
でもいいよね、べつに大して読まれてないだろうから・さー
なっがいね!でもこれ。
まあいっかー






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【2017/12/13 00:04】 | PSW(精神保健福祉士)
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